身寄りがない人の終活。老後に困る10のこと【準備と対策】

日本は、高齢を迎えた「おひとりさま」に厳しい国。
身寄りがないと「老後に困る10のこと」とは?

今からでも間に合う「必要最小限の終活」を見ていきます。

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目次
老後に困ること① 入院できない? 保証人の代替案を考えておく
身寄りがない方の終活は、医療・介護の分野から始めるのが定石です。
例えば入院に際して必要な「保証人」。
通常は家族や親族が保証人となります。
しかし身寄りのない方は、
- 友人や同僚に保証人になってもらう
- クレジットカードで医療費を支払う
- 「入金保証金」を支払う
などの方法で代替する必要があります。
通院が難しい状態になったらどうする?
高齢化や健康状態の悪化に伴い、「通院が難しくなる」ケースも少なくありません。
公共の交通機関や在宅医療を利用するにしても、そのためのコスト・手間が生じます。
特に過疎地域にお住まいの方は注意。
十分な医療サービスを受けられない可能性があります。
対策は身元保証代行サービス(保証会社)の利用
身寄りがない方は(たとえ現在の健康状態に問題がなくても)、入院に備えて準備を進めておきましょう。
おすすめの対策は「身元保証代行サービス」の利用。
身内に代わって企業や専門家が保証人となってくれるサービスです。
ただし、
- 初期費用として数十万円が必要
- 年会費として毎年数千円~1万円程度の料金が発生
- サービスに過不足が生じる可能性
など、コスト面とサービスの「質」にご注意を。
例えば全国対応の大手サービス「イオンライフ」。
初期費用が約90万円、年会費が1万円となっています。
最近では、法人による「成年後見制度」の利用も普及してきました。
「身元保証は不要」という見方も
身寄りがない方の入院に際しては、国や自治体、医療機関からも支援を受けられます。
例えば、ソーシャルワーカーや利用先の介護施設(ケアマネジャー)が窓口となり、専門家による連携と支援が十分に期待できます。
厚生労働省のガイドラインにおいても、
「まずは公的な制度や地域資源の活用を検討することが大切」
と記されており、必ずしも身元保証代行サービスを推奨していません。
※悪質な業者によるトラブルも報告されています
「経済的に余裕がない」
「終活に費用をかけたくない」
という方は、通院先の担当医や医療機関に相談することから始めてみましょう。
あるいはすでに十分な保証制度が準備されているかもしれません。
現状、身元保証代行サービスの意義については賛否が別れています。
最低限の対策として「情報収集」だけは進めておくと無難です。
入院に関して厚生労働省の定めたガイドラインはこちら
www.mhlw.go.jp/content/000516181.pdf
※「通院が難しくなる」ケースについては、記事後半で対策を紹介しています。
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老後に困ること② 介護施設に入れない?
介護施設の約9割は、入居に際して何らかの形で「身元保証人」を必要とします。
入院する場合と同じく、身寄りがない方は「保証人探しに苦労する」可能性があります。
また、施設に入居する場合、保証人は「収入を証明する書類」の提出を求められます。
そのため「家族や親族以外には頼みづらい」という意見が多く聞かれます。
※原則として保証人を「親族のみ」としている施設もあります。
身寄りがない方は、
「入居を断られる」
「入居先の選択肢が狭まる」
可能性を考慮しておかなくてはなりません。
対策は保証会社や後見制度の利用
入院する場合と同じく、介護施設においても保証代行サービスが普及しつつあります。
ただし、数十万円(ときには数百万円!)単位の費用がデメリット。
必ずしもおすすめはできません。
後見人がいる場合は、後見人が保証に関して施設と交渉してくれることがあります。
身寄りがない方の後見人となるのは、弁護士、司法書士、社会福祉士などの専門家。
費用は家庭裁判所が決定します。
※月額で2万円程度が相場です。
後見制度の相談窓口は、
- 地域包括支援センター
- 社会福祉協議会
- 市区町村の高齢福祉課
など
もし経済的な余裕がなく、上記のようなサービス・制度を利用できなくても大丈夫。
「保証人がいないと介護施設に入れない」というわけではありません。
「介護難民」は杞憂に過ぎない? 介護施設の現状
多くの施設に「保証人が必要」という「原則」はあります。
ただ、実際に入居を拒むケースは3割程度。
4割前後の介護施設が「保証人なし」で入居を認めているというのが現状です。
まだ数は少ないものの、社会福祉協議会や自治体が、「公的に入居者を保証する」例も見られるようになりました。
近い将来、身寄りのない高齢者(おひとりさま)が急増するのは確実。
公的なサポートの充実は「時間の問題」と考えて差し支えないでしょう。
※「保証人不要」で入居を認め、介護費用に「保証料」などを上乗せする施設もあります
割高な料金となりますが、保証会社を利用するよりは安上がりな場合も。
比較検討をしっかりと行うためにも、やはり事前の情報収集が大切です。
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老後に困ること③ 引っ越しが難しい(高齢者向け住宅にも入居できない可能性あり)
身寄りのない高齢者が「引っ越しに困る」例が増えています。
「賃貸契約ができない」
「老人ホーム(高齢者向け住宅)の審査に落ちてしまった」
こうした問題にもやはり保証人の有無が大きく影響しています。
加えて、ローンや賃貸契約は世帯の所得(年金額含)を基準に審査が行われます。
ご夫婦や同居世帯ならパスできる審査も、身寄りがない方はより厳しく査定され、「高齢者の単身世帯はお断り」とする不動産会社が少なくありません。
「高齢者の審査落ち」はすでに社会問題化しつつあります。
老後の不動産契約が難しい原因「三大リスクと持ち家信仰」
身内が保証人となってくれるケースはまだしも、身内のない方は、
数千万円単位の財産を有している高齢者すら賃貸契約を断られる
好物件に入居できず、保証金や一時金の高額な「割高物件」のみ紹介される
健康状態の悪化によって(家族のサポートを受けられないため)転居や退去を迫られる
以上のようなリスクに備えておかなくてはなりません。
さらに日本では、
「高齢者は持ち家に住むのが当たり前」
という風潮があり、そのこともまた高齢者の住宅事情を難しくしています。
不動産業者の視点から言えば、
おひとりさま ⇒ 孤独死のリスクが高い ⇒ 入居者の死後「事故物件」は不動産の価値が下がる
とみる向きもあって、やはり「おひとりさま」は敬遠されます。
対策は早めの終活。40代~50代のうちに「終の棲家」を確保
身寄りがない方の住宅問題は「早めの終活」で対策可能です。
高齢になる前に、できれば40代~50代のうちに「終の棲家」を確保しましょう。
一定の所得(支払い能力)があれば、住宅の選択肢はその金額に応じて広がります。
しかし所得が「年金のみ」になってしまうと、選択肢は狭まる一方。
現役世代のようには不動産を選ぶことができません。
経済力に余裕があるなら「お金に物を言わせる」方法が最も確実。
どんな好物件も購入資金の「一括払い」や「高収入」で手に入ります。
持ち家ならば基本的に長く住むほどお得。
考慮すべきポイントは、
- 日本人の平均余命(80歳~86歳)
- 不動産の耐用年数(30年~40年)
- 両者から逆算すると、やはり40代~50代での購入が最も割の良い「先行投資」となる
少なくとも統計上は、上記のような結論が導き出されます。
「早すぎる終活」にも注意を。人口減と高齢化のもたらす変化
人口減が加速する中にあっても、都市部の不動産価格は上昇を続けています。
ただし、今後の見通しは不透明。
日本では不動産が大量に余る(空き家が増える)ことが確実視されています。
高齢化も加速するため、近い将来「高齢者向けの不動産」は急増するかもしれません。
審査の緩い賃貸物件や老人ホームも、恐らくは増えていくことが予想されます。
ですから慌てて終の棲家を決めてしまうと、「急いては事を仕損じる」可能性も。
現段階では、資金の準備や情報収集を進めつつ、「しばらくは静観」する姿勢が最も賢い選択といえそうです。
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老後に困ること④ 健康寿命が短い
「孤独は万病のもと」と言われるほど、健康上のリスクを高めます。
統計を見ても、
- 一人暮らしの男性は既婚男性と比較して平均寿命が10歳近く短い
- 孤独度の高い人は認知症のリスクが2倍
- 友人の数と健康寿命がほぼ比例する
など、様々なデータが「孤独と健康」の関係性を裏付けています。
参考記事はこちら▼
https://bunshun.jp/articles/-/6460
もちろん統計は一種の「傾向」ですから、全ての人に当てはまるわけではありません。
とはいえ、身寄りのない方が「病気になりやすい」というのは事実。
潜在的なリスクには備えておく必要があるでしょう。
対策は地域コミュニティへの参加や友人の確保、訪問サービスの利用など
身寄りのない方が必ずしも孤独とは限りません。
友人や地域社会と一定の「つながり」があれば、老後も豊かな人間関係を維持できます。
すでに北欧の一部の国では単身世帯の割合が4割を超えました。
しかし「寝たきり」になる高齢者は日本より少なく、平均寿命も日本と同水準です。
※日本人の平均寿命84.2歳に対して、スイスは83.3歳
北欧諸国から学べる「孤老対策」とは?
一つには訪問サービスの利用が挙げられます。
例えば在宅介護が9割を占めるスウェーデンでは、自治体による訪問サービスが充実。
担当職員(公務員)との社会的「つながり」が、ライフラインとして確保されています。
一方、日本では社会とのつながりや人間関係は「自己責任」。
老後も「自助努力」によって維持しなくてはなりません。
※社会や地域とのつながりを示す指標「ソーシャル・キャピタル(社会関係資本)」が、日本は先進国最低の101位
「孤老」対策に有効な方法としては、
老人会や婦人会、ボランティアなど「地域コミュニティ」に参加する
民間の訪問サービス、デイサービス等を利用する
友人と暮らす「シェアハウス」や「高齢者向け住宅」を検討する
信頼の置ける人と「見守り契約」を締結する
「日本は孤老に陥りやすい国」であることを念頭に置き、終活で対策を講じましょう。
「つながり」を維持するための手当ては、健康な老後に大きく資する備えとなります。
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老後に困ること⑤ 財産や遺産を流用されてしまう恐れ
終活の総仕上げとなる老後の財産管理と遺産相続。
身寄りがない方でも、相続人や管理の方法を遺言書によって指定できます。
しかし、手続きに不備があると思わぬトラブルに発展する可能性も。例えば、
介護施設が通帳を管理し、入居者の財産を使い込んでいた
不要な介護サービスを上限額ギリギリまで利用させられる
参考記事:
https://president.jp/articles/-/25061
「遠い親戚」が遺産を奪い合う
「相続人なし」として遺産が国に帰属する
などなど。
認知症の有無にかかわらず、高齢になると財産の管理は疎かになりがち。
体力や気力の衰えが、金銭感覚の衰えを招きます。
資産の管理や相続を第三者に委ねると、当人が望まない形で流用されかねません。
対策は遺言書の作成や生前贈与、成年後見制度の利用
財産管理や相続の方法は、法的な制度によってこそ当人の意思を最大限に反映できます。
遺産を特定の人物や団体に贈与したい ⇒ 遺言書の作成や生前贈与
財産の管理を信頼できる専門家や知人・親族に依頼したい ⇒ 成年後見制度の利用
具体的な方策は思案中だが、緊急時に備えておきたい ⇒ エンディングノートの作成
「現段階では遺産についてまで考えが及ばない」という方でも大丈夫。
まずは、エンディングノートの作成から準備を進めましょう。
ノートを書き進める過程で、徐々に具体的な金額や使途について、自身の要望が明確になるはず。
終活を具体化する(まとめる)ツールとして、エンディングノートは非常に役立ちます。
参考記事はこちら↓↓
老後に困ること⑥ 葬儀・葬式をしてもらえない?
身寄りのない方が亡くなると、お住まいの地域の市町村が葬儀を行います。
したがって「孤独死すると供養してもらえない」という認識は誤り。
必要最低限の供養は法的に保証されています。
※墓地・埋葬等に関する法律第9条
「死体の埋葬又は火葬を行う者がないとき又は判明しないときは、死亡地の市町村長が、これを行わなければならない」
ただし、より「手厚い供養」や「当人の宗派に則った葬儀」を希望する場合は、生前の準備が必要です。
対策は生前契約(死後事務委任契約)や生前葬など
身寄りがない方の葬儀は、以下に挙げる2つの方法で計画的に準備を進められます。
生前契約(死後事務委任契約)
信頼の置ける知人や専門家(弁護士など)に死亡後の諸手続きを依頼する
(希望する葬儀の内容や費用額について、書面で契約を交わす)
葬儀会社に葬儀から納骨までを依頼すること(喪主代行サービス)も可能
生前見積もり ⇒ 生前契約の流れで、あらかじめ費用や葬儀プランを確認できる
生前葬
存命中に葬儀を行う。当人が喪主となり、パーティ形式で行う方法が一般的
友人・知人の多い高齢者が「自分らしく」葬儀を行う新しい供養スタイルとして人気
(死後に通常の葬儀を再び行う例もある)
ただし、生前契約や生前葬は、費用が割高になる傾向があります。
葬儀に特段の要望・不安がない方は、法律に則って自治体に一任するのもおすすめ。
必要最小限の「簡素な供養」も時代の趨勢となっています。
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老後に困ること⑦ お墓に入れない(無縁仏になる)可能性あり
身寄りがない方は「お墓の終活」も必要になります。例えば、
- 先祖代々の墓に納骨してほしい
- 樹木葬や散骨を希望している
- 自身で新しいお墓を購入したい
いずれのケースでも存命中に準備を進めなくてはなりません。
「おひとりさま」の遺骨はどうなる?
死後に遺骨の引き取り手が見つからない場合は、
自治体によって火葬 ⇒ 遺骨が数年間保管される ⇒ 自治体が管理する無縁墓に合祀
合祀されると、遺骨は個別に保管されず、他の方のお骨と混ざってしまいます。
自身の死生観に照らして抵抗を覚えるか否か、考えた上でその可否を判断しましょう。
無縁仏となることに何の痛痒も感じないのであれば、あるいは合理的な判断として、「お墓の終活をしない」という選択も間違いではありません。
対策は生前契約や遺言書の作成
ご自身の要望に沿った供養・納骨は、生前契約によって最大限に実現できます。
生前契約の対象(依頼先)となるのは、
- 弁護士や行政書士などの専門家
- 親戚や知人
- お寺や葬儀社
- 葬儀から納骨までを一括のプラン(サービス)として提供する企業
など。
先祖代々の墓がある場合は、その「墓じまい」や「永代供養」についても検討を進めましょう。
墓地の管理者(お寺や霊園)に相談するか、行政書士などの専門家に手続きを依頼できます。
遺言書の作成もおすすめ。
ただし身寄りがない方は、死後の事務手続きを行う代理人を任命しなくてはなりません。
信頼の置ける知人にお願いするか、弁護士・司法書士・行政書士などに相談してみましょう。
ちなみに遺言書を作成する費用の相場は、弁護士が10万円~100万円前後。
司法書士や行政書士は10万円~20万円前後となっています。
老後に困ること⑧ 生活苦に陥るリスク。「貧困率2割」の現実
生活保護受給者の約半数は、高齢者が占めています。
年金の受給額が目減りし、その数は現在も増加傾向。
生活保護を受給している高齢者は、まだ「恵まれている」とさえ言えるかもしれません。
身寄りがない高齢者の貧困率は約2割。
日本では「生活保護は恥」とする考え方が根強く、受給資格があるのに、「あえて手続きをしない」方が少なくありません。
年金の受給額を見ると、女性の「おひとりさま」は平均の月額が11万円。
男性や夫婦世帯より「統計的に生活が厳しい」と言わざるを得ません。
高齢者の資産を狙うビジネスも急増中
高齢者は特殊詐欺などの犯罪被害に遭遇するリスクも高いです。
法的にグレーゾーン(有名無実)の商品やサービスも、高齢者の懐を狙っています。
投資、副業、保険、訪問販売、そして終活すら危険。
過度にビジネス化した商法が問題になりつつあります。
一方で、行政や司法は必ずしも高齢者に救いの手を差し伸べてはくれません。
専門家によっては「近い将来、高齢者の貧困率が9割を超える」とする見方も…
「2000万円問題」に象徴される、高齢者の厳しい懐事情。
こちらの記事で詳しく解説しています。
金銭感覚の衰えを自覚し、厳重な資産管理を
高齢になると、金銭の管理はどうしても疎かになります。
認知機能の衰えに伴い、経済観念も徐々に失われるのが「ごく普通」の老化現象。
「認知症にならなければ大丈夫」というわけではありません。
老後は誰しもが、金銭感覚の衰えに直面します。
そのため「金銭の管理は家族に任せている」という高齢者も少なくありません。
身寄りがない方は、やはり自助努力が必要です。
例えば、生活費の収支管理や各種サービスの契約に際しては、可能な限り、「出費を抑える」姿勢を徹底しましょう。
おひとりさまの終活は「引き算」が基本
投資や副業で「1万円を稼ぐ」よりも、無駄を省いて「1万円を節約する」方が簡単。
しかも確実で、損をするリスクがありません。
「手間とお金を節約する」営みこそ終活の要諦です。
「何をすれば資産を増やせるか」という「足し算」は、リソースやリスクを要求します。
よって、人的資本に乏しい「おひとりさま」には向きません。
「何をしなければ資産を維持できるか」という「引き算」から終活を考えてみましょう。
人口減少 = 経済縮小を迎えている日本社会においては、こうした「守りの姿勢」こそ、最も合理的で、不安の少ない老後に資するはずです。
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老後に困ること⑨ 公的な制度を利用できない恐れ
日本の高齢者は本来、公的な制度の数々によって一定の生活水準が保証されています。
しかし、各制度の担当窓口は、必ずしも高齢者に優しくありません。
例えば、生活保護。
利用する資格がある人のうち、実際に利用している人の割合はわずか2割。
この「生活保護の捕捉率」という指標が、日本は先進国で最低レベルです。
(一方、欧米の捕捉率は5割~9割)
参考記事はこちら▼
https://www.jcp.or.jp/akahata/aik18/2018-06-03/2018060303_05_0.html
医療助成や年金制度などを見ても、「知らないと損をする」仕組みは少なくありません。
しかし老後を迎えて体力や気力が衰えると、情報収集も疎かになりがち。
本来は利用できるはずの制度や支援を知らないままに、過剰な負担を強いられる恐れがあります。
対策は事前の情報収集。やはり40代~50代のうちに準備を
日本の行政は「申請主義」とよく言われます。
対象者の自主的な「申請」がなければ、支援や優遇措置を受けられない…
どんなに困っていても、行政の側が率先して支援策を提示するケースは稀です。
高齢者も例外ではありません。
年金、保険、税金、医療、介護、住宅、雇用、そして埋葬料に至るまで、「申請しないともらえない」給付金や還付金が多々あります。
高齢者向けの制度をフル活用する方法は?
他の終活と同じく、やはり情報収集による自助努力が必要不可欠。
あるいは「かかりつけ医」「ケアマネジャー」「ソーシャルワーカー」など、各種制度のスペシャリストから適時サポートを仰ぎましょう。
※高齢者の手続きについては、ご家族や介護施設の職員が代理人となるケースも一般的。
「恥ずかしいこと」では全然ありません。
様々な形で支援を受けながら、利用できる制度は積極的に利用しましょう。
今からできる「公的な制度による老後の備え」
40代~50代のうちに「老後に役立つ制度の一覧」を把握しておきましょう。
そうすれば「もらえる補助金の額」も試算可能です。一例としては、
- 医療費控除
- 高額療養費制度
- 指定難病医療費助成制度
- 自立支援医療(精神通院医療費の公費負担)
- 心身障害者医療費助成制度
- 介護休業給付制度
- バリアフリー改修補助金(高齢者住宅改修費支援制度)
- 高齢者家賃助成
- 家族介護慰労金制度
- 高年齢雇用継続給付(雇用保険)
- 在職老齢年金(厚生年金)
- 寡婦年金・寡婦控除
- 埋葬料支給申請
以上のような制度が挙げられます。
※今後、当サイトでは広く支援・補助・還付制度などを紹介していく予定です
老後に困ること⑩ 急病から孤独死に至るリスクが高い
身寄りのない方が孤独死(孤立死)に至る事例が急増しています。
20年で3倍に増えたとする統計も。
特に「都市部に住む高齢男性」が多いとされています。(男女比は8対2)
孤独死の原因として多いのは、
- 心筋梗塞(循環器障害)
- 脳溢血(脳疾患)
- その他、急性の疾病発作
- 自殺
- アルコール性肝障害
など。
一般に「急病」と呼ばれるものが占める割合が高く、その予防が即ち、「孤独死対策」となります。
「自己診断」や「我慢」は禁物。定期的な通院と訪問サービスの利用を
高齢者は病気の症状に気づきにくいと言われます。
喉の渇き、疲労、ストレス、睡眠不足など、体調の変化を自覚しないまま、徐々に健康状態を悪化させてしまう例が少なくありません。
我慢を美徳とする高齢者の意識もまた、病気の早期発見を難しくしています。
身寄りのある方なら「家族のすすめで通院する」ということもあるでしょう。
さらに、お子さんやお孫さんが付き添って、医療機関への送り迎え、お薬の管理(服薬介助)、食生活の見守りなど、様々なサポートを期待できます。
しかし身寄りがない方は健康の「自己管理」を行う他ありません。
ただし「自己診断」は禁物。
より密に医療機関を受診したり、訪問サービスを利用するなどして、可能な限り、「第三者によるチェック」を習慣化しましょう。
老後に困らないための「医療の備え」
足腰が衰えれば、通院すら難しくなってしまいます。
移動手段の確保をはじめとして「医療アクセス」を意識してみましょう。
まずは「かかりつけ医」を決めることから。
あなたの主治医は終活に欠かせない大切なパートナーとなります。
さらに、
癌など「重病の治療」が必要になった際の治療先・入院先を決めておく
認知症を発症するなどして「一人暮らしができなくなった」際の処遇
近隣に在宅医療(訪問診療)を提供する仕組みが整っているか
急病を発症した際に「誰が」「いつ」発見してくれるのか。
※発見に至る予防策を講じているか
※訪問サービス、見守り契約などを利用する必要性はないか
入居予定の介護施設や高齢者向け住宅が、医療機関とどのように連携しているか
(老人ホームですら孤独死する例が報告されています)
参考:https://dot.asahi.com/wa/2019060400038.html?page=1
など、孤独死に至るリスクから逆算して対策を考えてみましょう。
身寄りがないと困る10のこと【終活による対策と準備まとめ】
① 入院ができない
⇒ 保証人を確保しておく。
「保証金」「カード払い」などの代替案も。「保証代行サービス」は必ずしも必要ない
② 介護施設に入れない
⇒ 保証会社や後見制度の利用を。
ただし必須ではない。選択肢が狭まる恐れはあるが、保証人がいなくても入居は可能
③ 引越が難しい
⇒ 経済力(信用力)がある40代~50代までに「終の棲家」を決めておくと安心
④ 健康寿命が短い
⇒ 訪問サービスや地域コミュニティ、シェアハウスなどを活用する。
若いうちから「人とのつながり」を確保
⑤ 財産や遺産を流用されてしまう恐れ
⇒ 遺言書の作成や生前贈与、成年後見制度の利用を検討
⑥ 葬儀や葬式をしてもらえない
⇒ 生前契約や生前葬で要望に沿った供養を
⑦ お墓に入れない(無縁仏になる可能性)
⇒ 生前契約や遺言書で「お墓の終活」を。永代供養や「墓じまい」も視野に
⑧ 貧困層が多い
⇒ 金銭に疎くなるのは老化現象の一つ。
自覚したうえで厳重な資産管理を。資産は「増やす」のではなく「守る」姿勢が基本
⑨ 公的な制度や手続きを利用できない(知らないまま見過ごしてしまう人が多い)
⇒ 40代~50代のうちに情報収集を進めておく
⑩ 孤独死に至るリスクが高い
⇒「第三者による健康状態のチェック」を習慣化する。
まずは「かかりつけ医」を決めることから
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※順不同・敬称略

東京弁護士会所属(登録番号49705)。宅地建物取引士。
法律事務所や大手不動産会社、大手不動産投資顧問会社を経て独立。
IT、不動産、相続、人事労務など幅広い相談に対応している。
さまざまなメディアにおいて多数の執筆実績がある。
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中央大学法学部卒業。
横浜市内の司法書士事務所勤務を経て、2014年に横浜で独立開業。
2018年に法人化し平塚支店を設置。
個人向けに終活サポート・相続手続・障がい者の法的支援、法人向けに企業の法務手続等幅広く取り扱っております。
特に相続案件は年間100件以上受任しています。
新聞への寄稿、書籍執筆経験あり。
司法書士法人スターディオ様の公式HP

加陽麻里布(かよう・まりの)です。
当事務所は、上場会社からベンチャー企業の法務手続を幅広く扱っています。
上場準備、ファンド組成、ストックオプションの設計から発行まで、ワンストッ プで行うことが可能です。
わたしたちは「クライアントファースト」という基本理念とその理念の実現のための基本姿勢を共有できるメンバーと共に、常に創意工夫をし、新たな付加価値を創造することによってお客様の多様なニーズにお応えします。高度な法律手続の専門家として、お客様に選ばれるパートナーとなることを目指しております。
関わってくださったすべてのお客様に多大なる感謝を持ち誠心誠意取組んでまいります。どうぞお気軽にご相談ください。
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卒業後、弁護士事務所、司法書士事務所、税理士事務所などで勤務。
現在、行政書士として行政書士事務所で活動中。
行政書士、宅地建物取引士、ビジネス実務法務検定2級、日商簿記2級、英検2級、測量士補、FP2級、賃貸不動産経営管理士などの資格を所有しています。
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大手監査法人の地方事務所で上場企業の法定監査などに10年ほど従事した後、出産・育児をきっかけに退職。
現在は、個人で会計事務所を開業し、中小監査法人での監査業務を継続しつつ、起業女性の会計・税務サポートなどを中心に行っている。
※オンラインでの対応も可能。ぜひ、お気軽にご相談ください。
内山会計事務所様の公式サイト

1995年4月 情報通信会社入社。
30歳を機に苦手だった経済分野を克服したいという思いから、ファイナンシャル・プランナーの勉強を始める。
同時期に購入したマンションの返済を8年で完済した実績を持つ。
2006年11月 卓越した専門性が求められる世界共通水準のFP資格であるCFP認定を受けると同時に、国家資格であるファイナンシャル・プランニング技能士1級を取得。
2017年10月 独立。
主に個人を相手にお金に関する相談及び提案設計業務を行っています。
個人向け相談(資産運用・保険診断・税金相談・相続対策・家計診断・ローン住宅購入のアドバイス)、企業向け相談(補助金、助成金の申請アドバイス・各種申請業務代行)の他、資産運用など上記内容にまつわるセミナー講師(企業向け・サークル、団体向け)を行う傍ら、執筆・監修業も手掛ける。
また、個人事業主の法人化における手続きアドバイス等も行う。
新井智美オフィシャルウェブサイト

結婚、出産、子育てをしながら、某大手生命保険会社に12年勤務
退職後、生川FP事務所を開業し、2007年2月、株式会社アスト設立
マネーライフに関する様々な分野でのコンサルタントとして活動中。
現在、家計相談などのコンサルタントの傍ら、各地でこづかいゲームをつかったワークショップをはじめ、子どもの心とお金の関係について講演、セミナーを行っている。
2015年度金融知識普及功労者として金融庁・日本銀行から表彰を受ける。
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ひとりでも多くの女性にあなたらしい人生を送ってほしいと願っています。
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生命保険など各種金融商品の勧誘・販売を一切行っていません。
自主企画のセミナー動員数はこれまで500人超。
宅建士でもあることから「お金と不動産の専門家」として活動。
この他の業務として【専門記事執筆】【宅建士・FP技能士資格講師】【コンサルティング】。
特に執筆は、年間250記事以上の連載、記事監修の実績があります。(現在の主な連載先…西日本シティ銀行、キャリコネニュース、財経新聞、マネーキャリアマガジンなど)
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